ご案内
二○○五年四月一五日は朝九時から急騰し誘導目標に対してプラス二%に達した。
その後も夕方までプラス八〜一○%程度で推移していた。
月末日は資金決済量が増大するため、フェデラルファンド金利は上昇しやすい。
特に四半期末は大きく上昇する傾向がある(一○〜二○%程度上昇する)。
月末の中でも年末日だけは逆に金利は低下することが多い。
市場参加者が減少する時期であるため、事前に年末越えの資金手当てを終わらせている金融機関が多いためである。
夕方六時のフェデラルファンド平均金利を見ると、誘導目標に対して二○○四年三月三一日はマイナス二三%、二○○五年三月三一日はマイナス二○%も低下していた。
金融機関の準備預金の進捗程度によって、最終日は金利が上昇する日もあれば、低下する日もある。
特に夕方五時以降は最終調整を行う金融機関が増加し、動きは激しくなる。
準備預金最終日が国債発行集中日や月末と重なるケースは特に注意が必要である。
米国では金融機関が保有する現金も準備預金所要額に算入できるため、連銀の口座における準備預金所要額は日本に比べると驚くほど低い。
一方で、Fedワイヤーの資金送金額は、日本の日銀ネットに比べ金額で約三倍、件数で二四〜二五倍に達している。
わずかな準備預金所要額のもとで、インターバンクの膨大な資金決済をこなしていると、予想外の入金などで超過準備が発生してしまうリスクがある。
超過準備をできるだけ発生させないようにするテクニックとして(資金ディーラーの腕の見せどころだが)、積み立て期間の一週目の金曜日は資金調達を控えめにして準備預金残高を低めにし、準備預金の進捗ペースを抑制する変動傾向に加え、最近顕著になった新しい現象がある。
G前FRB議長は、債券市場などにショックを起こさないように、二○○四年六月以降の利上げ局面では、フェデラルファンド金利の誘導目標引き上げを事前に市場に織り込ませるスタンスを採ってきた。
以前の利上げ局面では、FOMCが近づいても市場参加者における政策変更予想は割れていたことが多かったが、二○○四年六月以降の「慎重なペース」の利上げでは、毎回、ほとんどのフェデラルファンド市場参加者が○・二五%の利上げを予想していた。
このため、積み期間(二週間)の中にFOMC開催が含まれていると、多くの銀行の資金ディーラーは「金利が引き上げられる前に資金調達を進めて準備預金残高を厚めにし、利上げ決定後は残高を減らす方が有利だ」と考えるようになる(準備預金は二週間の平均残高でカウントされるため)。
つまり準備預金積み立て期間内で金利裁定が働くことになる。
その結果、FOMC開催前にフェデラルファンドの資金調達を進める銀行が増加し、金利に大きな上昇圧力が加わるのめに残すことができるため、超過準備の発生を回避することができる。
そのような行動をとる銀行が増加すると、積み立て期間一週目の金曜日のフェデラルファンド金利は若干だが弱くなる。
二○○六年一月三一日に開かれたG前議長最後のFOMCも、市場は事前に○・二五%の利上げを予想していた。
FOMC開催の一週間前である一月二四日頃からフェデラルファンド金利は数%の上昇を見せ始め、一月二七日は誘導目標比プラス一四〜一七%程度、三○日はプラス二三〜二五%という水準で取引が行われていた。
一月二二日のFOMCは準備預金最終日の前日だったため、本来はFOMC前に資金調達を急いでもあまり意味はないはずである(すぐに次の積み立て期間が始まってしまうため)。
しかし、それでも早い時期から金利上昇が発生したのは、遅くともFOMC数日前には金利上昇が始まることは確実なので、その前に準備預金積み立てを進捗させてしまおうとオーバーナイトやターム物の資金調達が市場で増加するためである。
この現象をラィトソン、CAPチーフ・エコノミスト、R・K氏は「FOMC事前予想効果」と呼んでいる。
例えば二○○五年一二月二二日のFOMCでFRBは誘導目標金利を四%から四・二五%へ引き上げた。
しかし、フェデラルファンド市場では準備預金積み立て期間の初日である一二月八日から既に顕著な金利上昇が始まっていた。
誘導目標(四%)に対して、八日はプラス九%、九日はプラス一六%、三日はプラス二四%も上昇した。
FOMC開催前日に市場は利上げを織り込この「FOMC事前予想効果」は、ニューヨーク連銀公開市場デスクにとっては、実に悩ましい現象である。
彼らの使命はFOMCが決定した金利水準を実現することにある。
FOMCが利FOMC開催後に彼らが超過準備の発生を回避しようとすると、多くの銀行は準備預金残高を極端に減らすことになる。
しかし、それは銀行間の円滑な資金決済に必要な日中流動性を不足させるため、RTGS決済(Fedワイヤー)に支障が出てくる恐れがある。
かといってそれを警戒してFOMC後も連銀が資金供給を絞らなければ、市場では資金が余り、フェデラルファンド金利が急落することもあり得る。
二○○四年八月にニューヨーク連銀はこのスタンスでオペレーションを行ったところ、FOMC後にフェデラルファンド金利が引き上げられた誘導目標よりも三○%も下方に逸脱してしまうという皮肉な現象が起きた。
対策中間の妥協策。
FOMC前の金利上昇圧力をほどほどに抑え込もうとはするが、積み期間の後半に残りの準備預金所要額が大きく減少してしまうほどはやらない。
つまり、日々の金利が目標から一時的に逸脱することは、事実上許容せざるを得ないという現実的なスタンスである。
最近のニューヨーク連銀公開市場操作デスクの実際のオペレーションは、対策が採用されているようだ。
二○○四年二月一○日のFOMCでこの問題が議論されていた。
G議長を含むメンバーは、FOMC開催前のフェデラルファンド金利の上昇圧力を抑えるように望みつつ、FOMC開催後の準備預金管理にもニューヨーク連銀が配慮すること(つまり対策のこと)を了承した。
この結論は日本の市場関係者から見ると示唆に富んでいる。
FRBはフェデラルファンド金利が誘導目標から数十%逸脱することに悩みつつも「まあ、いいじゃない」という割り切りのスタンスを見せた。
その結論を米国のメディアは特に問題視せず、そのまま許容している。
一方、日本では二○○五年六月から八月にかけて日銀当座預金残高が目標下限をほんの数日間割り込んだだけで大騒ぎになった。
日本人は凡帳面である。
なお、B・B議長も事前に政策変更を市場に入念に織り込ませる戦略を採るのであれば、「FOMC事前予想効果」は今後も発生し続けるだろう(金利引き下げ方向の場合は、FOMC前にフェデラルファンド金利は低下し、FOMC後は新しい誘導目標に対して上昇しやすくなるだろう)。
この現象は、シカゴ・ボード・オブ・トレード(CBOT)で売買されているフェデラルファンド先物(一カ月間の平均レートの先物)の清算価格に数mの影響を与えるケースがあるため、同市場の関係者の問では、プライシングにこのプレミアムを予測して織り込ませようとする動きが起きている。
ニューヨーク連銀がどのような金融調節を行っているのか見てみよう。
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